繕う・つくろう

                           2024・3・25

 cocoせせらぎから歩いて15分くらいの所にある元住吉ブレーメン商店街 今どきよく言われるシャッター街などでなく 正真正銘のにぎやかな通り。スーパーマーケット4店 ドラッグストア5、6店舗 銀行4店舗 郵便局2カ所 八百屋 パン屋 酒屋 お茶屋 各種飲食店 花屋 洋品店 洋菓子屋 和菓子屋 百円ショップ・・・あらゆる商品があふれ買い物をする人もあふれている 不景気の今 めずらしく活気溢れる商店街です。

 

コロナの時には元気な人を見たくて ときどきこのブレーメン通りにやってきました 二重マスクをして消毒スプレーを持って。コロナでしおれきった心には 元気に掛け声をかけながら野菜満載の箱を運ぶ人 急ぎ足で買い物をする人々の姿を見れるのはうれしかった! コロナになんか負けないぞ!という勢いがありました。

あるとき人通りの少なくなったはずれの方まで歩いていったら ふと可愛いものが並んだショーウィンドウが目にはいりました。にぎやかな商店街にはあらゆる商品があふれていたけど こんなセンスのある小物たちにはお目にかかれなかったなぁ・・・スーッとお店スクリーンショット 2024-04-04 160928に吸い込まれました。幅2メートル奥行き8メートルほどの小さなお店には タオルやハンカチ 布製のバッグや木綿のブラウス・ワンピース 使い勝手のよさそうな食器類など 若いころ心がときめいた可愛い小物たちがいっぱい。そして写真の靴下を見つけたのです。チェック柄の靴下って珍しい それに可愛い色 5本指がついているのも便利かも・・・と色ちがいで2足購入しました。

 

80すぎて赤い靴下? 気にしない 気にしない!と一冬ふた冬 何度もはいているうちに 2足とも足指のところに穴が・・・あれ 靴下に穴があくなんて 子どものとき以来じゃない? 好きな靴下だから捨てるのはもったいないし そうだ 穴かがりしてみよう!と思いつきました。

子どもの頃 家族が寝静まったコタツで針箱を広げ 叔母と母は一家の靴下の繕い物をはじめました。切れた電球を穴があいたところに当てがって おしゃべりしながら家族の靴下を次から次から糸でかがっていく・・・つくろうという言葉には バツが悪くなって場をつくろう という意味もあったけど まさに糸へんに善くするという字のとおり 破れた靴下をまた履けるようにする ”繕い物”。大人になったころには高度経済成長のおかげか 破れたものは捨てる生活に慣れて 繕い物っていう言葉もなくなってしまったなぁ と思いながら 私は針に糸を通して繕いはじめました。チェック柄の靴下はあっという間に蘇って また十分に履けるようになりました。

 

どうして2足とも穴のあいた部分が親指と人差し指なんだろう・・・繕いながら不思議に思いました。他の指より力が入るから破れるんだきっと、、立つ 歩く 蹴る 跳ぶ 踊スクリーンショット 2024-04-04 161011る どんな動作のときも親指と人差し指のお世話になっているんだ、、二足歩行になって以来ヒトは足の親指と人差し指で踏んばって どんなに心が辛いときも歩きつづけ 悲しいときは立ちあがって 嬉しいときは跳びあがり 道をふさぐ相手は蹴とばして 労働しながら踊って・・・人はそうやって生きてきたんだ! 親指と人差し指は大切なんだ! 私はひとり勝手に納得して コタツに入って2足目の繕い物にとりかかりました。        (入居者・土)