はだしのゲンが 核兵器のない平和世界をもとめて 地球を駆けめぐっています
cocoせせらぎホームページ 終戦記念日特集 2024・8・15
90歳を過ぎて はじめて漫画の本を読みました 『はだしのゲン』です。
なぜ読んだか・・・2023年度の教材から『はだしのゲン』を削除する 図書館からも撤去すると広島市教育委員会が決めたというのです 言葉が下品だから 子どもにふさわしくない言動があるから だそうです。削除され撤去される前に 一度読んでおかなければ・・・と思いました。
読んでみて 言葉が下品? 子どもらしくない言動? と不思議でした。下品で 子どもらしくないからこそ『はだしのゲン』はあの時代のりっぱな歴史書なのでは? 子どもたちは原爆の下で生きのびるために 喧嘩をするときも遊ぶときも本音で 子どもの社会を作っていったのではないでしょうか。
作者の中沢啓さんは次のように記しています。
「原爆をテーマにして漫画を描くのはしんどい。でも子どもらは素直になにが真実か見きわめられる。そして作品の中に入っていき ゲンになりきって平和の尊さを理解してくれると念じている。それをわかってくれれば本望だ。」
ゲンの父親は「この戦争はまちがっている」と主張し 特高警察からいつも監視されている人でした。母親はやさしくゲンたち4人の兄妹たちを育てる 貧しいが平和な家庭だった。1945年8月6日 一発の原子爆弾が落とされました。一瞬にして広島の街と人は6000℃の火に焼かれました。ゲンの父親も建物の下敷きになり 火の海の中で姉弟3人が亡くなりました。父親はゲンに「お母さんと逃げろ ゲン! 麦の穂のようにまっすぐ生きるんだ」と叫んだ。
戦後 一人で生きなければならなくなったゲンは 喧嘩もする 盗みもする・・・そんな生活を4人で助け合いながらはじめます。火傷で顔にケロイドが残り 長い髪で顔を隠している日本舞踊を習っていた女の子、大人になったら洋装店を開くという夢をもっていた女の子、死んでしまった弟そっくりなケロイドで髪の毛がなくなってしまった男の子、ゲンと4人で励ましあい寄りそって生きていく。でもきれいごとでは生きていけない 精一杯背のびをして大人のふりをして 大人の真似をして 盗みもはたらく・・・
敗戦直後の広島の苦しい歴史を知らないはずはない教育委員会が 言葉の下品さ らしくない子どもの姿を理由に この漫画を撤去するとは?
『はだしのゲン』は今 24カ国以上の言語に訳され 世界中をはだしで駆けめぐっています。世界が知ろうとしている”はだしのゲン”を なぜ日本の子どもたちの目に触れさせないようにしているのでしょう。
漫画の最後のページでゲンは言っています。
「できることなら世界中の国々にきれいな虹をかけて 国境もなく自由に虹の橋を渡って 世界中の人たちとなかよく話し合い 戦争のない平和な世界が作れたらすばらしい。」
核兵器禁止条約が発効して3年がたち 世界の70カ国が批准しています。世界で唯一被曝を経験した日本こそ 核兵器の悲惨さを権威をもって語れる国 しかし条約に加盟していません。戦争体験をした年代の私たちだからこそ 核兵器禁止条約に加盟する運動をしていきましょう。 (前理事長・前田)
79回目の終戦記念日 ゲンももはや90歳に近く 多くの戦災孤児と同じよ
うに生き抜き どこかで元気に生きているような気がします。
「ゲンは今 八十路を超えて胸におり」 朝日川柳欄 2024・8・6より