COCOせせらぎ 2022.12

白い髪に

50歳を過ぎたころだったか 頭に白いものを見つけるたびに まるで仇のように一本一本抜き 「白髪だなんて・・・」と受けいれられない気持ちで染めることをはじめました。

退職した60歳のころ 一時染めるのをやめようかと迷ったこともありましたが まだまだ! と抵抗して 黒い髪のままいつの間にか80歳まできてしまいました。

 

それが去年くらいから なにか白い髪を自然に受けいれられる気がしはじめたのです。理由はいろいろありました。

70代はまだ若かった まだ虚勢を張れた というかがんばろうと思ったことを最後までがんばり 疲れて倒れこむけどすぐに起きあがり 倒れたことなど忘れてつぎへ・・・まだ体のなかのバネが効いていたのかもしれません。正直「後期高齢者なんて世間はいうけど 70代はまだ元気元気!」と反論したい気持ちでした。

ところが80の坂を越えたころから なにか変なのです バネが金属疲労でもおこしたように あれ? 私って起きあがれない・・・?と 倒れてしばし寝込むことも出てきました。

前のように ”倒れたことなど忘れてすぐつぎの行動へ”などということができなくなり もっとすすんで 倒れたことを忘れられず これからは倒れないようにしようと気をつけはじめ どんどん慎重になってきました。慎重になると つまり動きは遅くなり 動く回数も減り ゆるゆるノロノロ・・・ これはフレイルの入り口かな?

友だちが「80の坂はきついよ」と言っていたことが身に沁みました。最初は受けいれられず前のようにズンズン動き 寝込んでは80歳を自覚し・・・そんなことを繰り返しているうちに やっと”自分は老いの坂のつぎの段階に入ったのだ” と悟りました。なんでもゆっくりペースに そして力を抜くことを覚えた楽なペースに(脱力というのは意外と難しくて 抜こうと思ってできるものではありません)。

 

体も心もそのことを受け入れ そこでつくづく自分の顔を見ると 鏡の中には・・・?

柿が日光にさらされているうちにしぼんで干し柿ができあがるように 私も日々の生活にさらされているうちにずいぶんとシワが・・・できたら上等の干し柿のように 柔らかく甘くできあがったのならいいんだけど???

体も 心も 顔も もう黒い髪は似合わない。老いを素直にみとめ それにぴったりな白い髪になろう! 神さまが人間の最後の姿として与えてくださった白い冠 その姿であちらに行こう!

 

80になって考え始め 81の誕生日に決心 いま実行中のホワイトヘアー・プラン。

髪は額縁というけど・・・自分はどんな風になるんだろう 想像がつかず途中かっこ悪くて部屋に引きこもってしまうかな? いやいや きれいな色の帽子や かっこいいヘアバンドで楽しく過ごそう! などと思う毎日です。

美容院の方によると 完成まで一年半もかかるというこのプラン。半分は心配で でも半分は新しい自分に出会えそうで 楽しみです。           (土)