cocoせせらぎに暮らして    2021・9・3

cocoせせらぎに暮らして                  2021・9・3

写経をはじめました

5月からcocoせせらぎのサロンに 週日午前10時~午後3時まで若いライフサポーターさんが座ってくださることになりました。45歳! ふだん私たちとはあまりおつきあいのない若い世代の女性が 毎日サロンにいてくださる! 事務を取りながら いろいろ細かい要望や相談事に対処!というのは なんという幸運 なんとありがたいことかと 一同感謝の日々なのですが そのうえ写経を教えてくださることになったのです。

サロンで何の話からか「私ね 写経をやってるんです」という彼女の一言を聞いてしまったのです。 写経。。 うーん 今まで経験がないけど 墨をすって筆を取って 心静かに書く・・・ なんかとてもいい感じ。

そう思ったら即 実行の私 「ねー 写経っていうの 教えてもらえない?」と聞いてみました。 「私も習っているだけなので 教えるというより一緒にやるという感じなら いいですよ」とすぐに彼女は言ってくれました。「まず一回やってみましょう」とさっそく日を決め お知らせポスターを貼り 人数を募ると 6人参加とのこと。

写経教室当日 コロナ対策で 横長のテーブルの端と端に椅子をはなして置き 三台のテーブルを先生に向かって三列。寺子屋のように6人が並びました。先生が「般若心経」の見本と練習用の紙を用意してくださり 私たちはそれぞれ部屋のあちこちからかき集めた筆やら筆ペンやら硯 墨 墨汁 紙などを持ちよって 椅子に座りました。先生の説明がはじまった途端 とても懐かしい空気が漂いました。” なんかよくわからないけど 先生の言うとおりに “という小学校のお習字の時間の空気。一応の説明を聞いて 一人ひとり筆に集中しはじめました。「般若心経を唱えることができる」と言っていた男性の I さんが 高僧の唱える般若心経のCDをかけてくれ 荘厳なBGMの中でみんな無言で一字一字書き進めていきました。どんどんアジのある自分の字で書き進める人 なるべく見本のとおりにと慎重な人 それぞれの一時間が過ぎて フッと息を抜いたら なんと目も肩も腕も腰もぱんぱんでした。

「今日やってみて又やりたいなと思う方がいたら 次回もやりましょうか」と先生が声をかけてくださり 月に一回 希望者ももう一人増えて 写経教室は続けることになりました。教室大繁盛! 7人になったらどのようにテーブルを並べようか 頭をひねらなきゃ・・・

夕食後 今日はたのしかった~という話を皆でしていたら 誰かが「そうだ 私お葬式は I さんに般若心経を唱えてもらおうかな」「いいね~ 私も頼もうっと」「私もね」と希望者続出。皿を洗いながら聞いていた I さん。「じゃあ 俺はどうすりゃいいの」「一番最後ってことね」・・・わっはっは         (R)

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cocoせせらぎは「コモン」?

資本論と聞くと引く人がいるかも・・・ でも昨年9月に出版され あっという間に30万部! 新書大賞もとり とくに若者のあいだでベストセラーになっていると評判の『人新生の「資本論」』を読みました。                                     経済の本を読むなんて たぶん私の人生ではじめてのできごと。でも大阪市大の若~い(34歳)先生の熱気に引きずられて一気に読めました。斎藤幸平先生は zoom で拝見したら ピンクのワイシャツの似合うなかなかハンサムな方 手ぶりをいれながら「地球環境の危機にあって 生き残るために何をなすべきか」を熱心のあまり早口になりながらの講義。その合間にちゃっかりピアニストの奥さんのことを自慢したりするお茶目な方でした。

彼の心配ごとは 世界中を襲う大洪水・山火事・熱波・氷河溶解・海面上昇など二酸化炭素排出による地球危機を 手遅れにならないうちに止める方法はなにか・・・という ひとりで頭を悩ませるにはあまりに大きな大きな悩み。経済学・哲学・社会思想をドイツで学び カール・マルクス晩年までの原典をひもといて この大きな問題にとりくんだ結果(彼の論文はドイツの権威ある賞ドイッツアー賞を31歳という歴代一位の若さで受賞 もちろん日本人としてはじめて)若い頭脳の中からまっすぐに取り出されてきたのが・・・

「すべてを儲けのタネにして 地球資源を掘りつくし 土壌を壊し 海と大気を汚し 途上国の資源と労働力を安くかすめとり 危機にさえ便乗して(例えば山火事→火災保険というように)成長を止めない資本主義が元凶だ!」

という そう言われればそうだよねと 思わず納得してしまう答えでした。そして それに対する斎藤先生の処方箋は・・・

「コモン(市民が共有・管理するべき社会の富。たとえば空気・水・太陽光・土・電力・住居・医療・保育・教育・介護・郵便・電波・交通などなど)を公共財として 自分たちで民主的に管理すること。これらを儲けのタネにしないで 社会的共通資産として 専門家任せでなく市民が民主的に共同管理して(話し合いに時間はかかるけど)コモンの領域をどんどん拡げていくこと。

生産の場でも 途上国の労働力を安価に掠めとるのでなく 働く人がみずから出資し みずから経営し労働する共同管理の生産方法をとる。そうすると生きていくうえで必要のないものを生産するクソくだらない仕事(bullshit job たとえば宣伝広告・マーケティング・金融・保険など)はやめるようになり 生きるに必須のエッセンシャル・ワーク(食品・教育・医療・介護・交通・通信など)だけが残る。生産は減速し脱成長へー→資源の浪費は減り 地球危機から免れる。私たちは生活様式をあらためる。」

経済を右肩上がりの成長でなく 右肩下がりにペースダウンすることで この燃え盛り氷の溶けていく地球をクールダウンさせる という私なりの理解ですが・・・頭の中をスーッと涼しい風が吹きぬけたような気がしました。そして フッとcocoせせらぎのことが頭をよぎったのです このコモンという概念の中にcocoせせらぎも入るのでは?

子どもには教育というコモンが必須なように 老人にも介護・医療・住居というコモンが必須ではないか。一生働いてきたのにあまりお金に縁のない人も 安心して自分らしく最後の日々を送れる所が必要だということを考えたとき cocoせせらぎは

「この場所を儲けのタネにしない。利潤を目的としないから成長もしない。一人ひとり自立して 運営は民主的にみんなで話し合って決めていく。困ったときにはお互い助けあう相互扶助の精神。まさに斎藤教室優等生のような これぞコモンではないか!」と。

そう思いついた私は おもわずひとりで盛りあがりました。これまで8年 理念をもってここを一生懸命運営してくださった運営委員に感謝! そしてこれからもcocoせせらぎがこの体制をもちこたえますように と願いました。

「SDGsでは もはや追いつかない」と斎藤先生が言われる地球危機に対しては 私たち高齢者はおおいに責任があるのに無力だなぁ と思わずにいられないのですが 子ども・孫・ひ孫の世代が地球上に生きのびるために 私たちも生活様式を考え直し できるだけのことをしなければ。

・要らない物は買わない                                ・

・ファストフードやファストファッションには手を出さない

・必要以上の水や電力を使わない

・紙を無駄にしない

・プラスチック ビニール類はなるべく少量に

・プラごみが海に流れつかないように 拾って歩く。

そして「コモン」であるcocoせせらぎを守っていく、、、、、老人もがんばります! (R)

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ベランダの秋ナス