コロナの置き土産

2023・10・30

 

この写真はなんでしょう?

3年ほど前 日本に住所を持っている全員に2枚ずつ政府から配られたもの・・・そう いわゆるアベノマスクです。スクリーンショット 2023-11-06 114528

今まで人類が罹ったことのないウィルスで世界中が大混乱におちいったコロナ。日本でも正体のわからないこの病気でつぎつぎ人が死に 薬は?  予防法は? ワクチンは? と不安に陥り アルコールやマスクを手に入れるための 長い行列ができました。

日本は先進国だったはずなのに マスクも手に入らないし ワクチンも作れない国になってしまったんだ・・・がっくりしながら やっと手に入れたマスクを何度も洗って使い回していたとき なんと時の首相 安倍晋三さんが考えたのがアベノマスク。「布なら洗ってずっと使えるだろう 2枚ずつ配れば それで国民は安泰」と考えたらしい。あまりに国民をナめたコロナ対策ではないですか! 2億4千万枚を大急ぎで作ろうにも 国内に生産基盤がなくなっていて東南アジアに発注したという話も聞きました。

 

どんな立派なマスクだろうと待っていると 来ました! 郵便屋さんはふだん郵便局から縁の遠い家も探しあて 国民一人一人にほんとにご苦労さま。開けてみると ん?子ども用? と思うような やたら小さいガーゼマスクが出てきました。口に当ててみると 分厚くて息もつけない! これは眼帯かな?と目に当ててみたりしましたが そのうちこの役立たずはどこかへいってしまいました。その後アベノマスクをつけている人にお目にかかることもなく テレビの安倍さん本人も ちがうマスクでした。

 

コロナの正体が少しずつわかり 患者数が減ってきて アベノマスクのことも忘れかけた頃 新聞に小さい記事が載りました「受取人不明のアベノマスクを保管する倉庫費が膨大なので 希望者に送付」とのこと。うーん あのガーゼは政府調達だけあってキメが細かく立派だったなぁ もったいないなぁ 送ってもらおうかな と考えたのです。厚労省のホームページを開けて 私にはなかなか面倒な手続きでしたが なんとか申し込んで・・・忘れかけていた頃なんと!ほんとに届きました。ダンボールに100枚のアベノマスク。

 

多大なお金を使った貴重なガーゼマスク おろそかにしてはいけないと思いつつアイデアもなく しばらく放ったらかし。猛暑で部屋にこもっていたときにふと そうだ! 風呂上がりのガーゼガウンがくたびれている ガウンを作ろう! とさっそく作業にかかりました。スクリーンショット 2023-11-06 114603

マスクは50㎝四方くらいのガーゼを15分の一に折りたたみ 左右にゴムを挟んで二箇所のミシン掛け という簡単な作りでした。しかしカッターで縫い目を開き ゴムを外し 糸くずを取り除き・・・これを100回 なかなか根がいります。

でも縫いはじめたら ミシンでまっすぐまっすぐ どこまでも・・・26枚のガーゼを使って あっという間に上等二枚重ねガーゼガウンができあがってしまいました。柔らかくて真っ白なガウン! やはり政府調達品はどこかちがうなぁ と毎日使いました。

 

まだまだガーゼが残っています。

なにを作ろうかなぁと考えているところに「ガーゼの肌掛けが欲しい」と娘からの注文。またまっすぐまっすぐつないで スクリーンショット 2023-11-06 114615三枚重ねの大判肌掛けと中判肌掛けの二枚ができあがりました。以上三つの作品で使ったガーゼ合計99枚。不思議なように一枚 手元に残ったのです。

 

人類に大きなツメ跡を残したコロナ・・・4年間の苦しかった経験からたくさんの教訓を受け取りましたが この一枚のアベノマスクも「ナめられた記念品」として手元に大事に残そうと思っています。

(入居者・土)