終の住処プロジェクト 第2回 報告 

2023・11・20

「cocoせせらぎを終の住処に!」に向けて11月9日午前中 第2回目の話し合いをもちました。1回目の9月には入居者が「終の住処」について どんな気持ちでいるか どんな最期を想定しているか など漠然とした気持ちを一人ひとりが話しました。

今回は 1回目に出された終の住処のイメージを もう少し具体的に考えたいと『在宅ターミナルのある暮らし』という本を皆で読み グループリビングの大先輩であるcoco湘南がどのように看取りを実践したか を学びました。

本の要約は以下の通りです。

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『在宅ターミナルケアのある暮らし』 coco湘南台の看取りのケース  生活思想社

入居者78歳の方に胃がんが見つかり もう胃がんの治療はしないと決めて その後の4 年半をcoco湘南台で過ごされた看取りの記録です。すべてをコーディネートした西條節子さんが著者。

自分の暮らしている家(部屋)でターミナルケアをするためには「なんでも完璧にやろうとするのではなく 昔から自然に家庭でやっていたことを 訪問看護やヘルパーなどのいろいろな機能を使いながら 自然な気持ちでやることで可能になる」のではないかと考えて実践した西條節子さん。

貧しくても苦労があっても グループリビングでの自由と尊厳の生活があり 入居者同士がお互いの良さも悪さも知り信頼関係ができたなかで この家(部屋)で死にたいという自己決定が出てくる。

①グループリビングでの自立と共生の生活の過程があり 地域の住み慣れた所で心豊かに

過ごし 人間関係もできる。

②その生活のなかから ここで死にたいという自己決定もできる。

③終末を迎える。  看取りはグループリビング生涯型暮らしの到達点ということか?

看取りに向けて必須の5項目

  • 暮らしの尊厳

小規模な暮らしのコミュニティのなかで 自分の意思でいろんなことが自由にでき

る。喜びを見つけることができる。特に「住まい」の環境が大切。立派な設備の

整ったホームの中に小さな金の座布団を敷いてもらっても私たちはうまく座れない。

私たちにはボロではないけどふさわしい座布団があって そこに居心地よく座れる。

  • 地域と共生する

coco湘南の窓を開いて何年か過ごすうちに近所同士の交流もうまくできるようになる

  • 地域の資源はいっぱい活用

質の高いところをどう選ぶか。よいケアマネージャーが選ぶいい医療と介護機関がポ  イント。訪問看護ステーション ヘルパーステーション 往診してくれる医師がいる  ことが大きな条件。

  • 食事・家政を支える人たち

地域社会に役立つ働き方をしたいという方たち キャリアと経験をもつ方たち と信

頼関係を作りつつ 調理・共用部分の清掃・家事労働を担ってもらう。

  • ターミナルケアを支える人たち

・ケアマネージャー(元気印に地域で生きて地域で納得して終わりたいという願いは

ケアプランを作成して見守るケアマネージャーの腕にかかっている)

・在宅介護支援センター・ヘルパーステーション

・訪問看護ステーション

・往診をしてくださる医師

また ターミナルケアは医療・介護チームだけがよくても成り立たない。周りの多くの人のデリケートな心遣いが必要になってくる。

実際の準備

・ベッド生活のすすめ

電動で上半身が起こせ 体が痛くないようエアーマット付きのベッド

歩くための補助具 などの準備が必要

・望まない延命はやめて

「私は人間らしい生と死を求めます」の書式

・資産のある人は法的遺言書を

弁護士か税理士に相談して相続態勢をつくってもらい 法務局に届け出ることがいちば

んよい。

・遺言

いろいろな送り方(葬儀)があるが その人らしい望んだ形での 形式的でない すが

すがしい幕の閉じ方ができるよう「お願いの遺言書」を書いておきたい。葬儀が地域の

しきたりや葬儀屋に仕切られることがあるが 自分らしく送ってもらうために書き残す

・西條節子さんが書いてみた遺言

お金のこと  通夜のこと  戒名  葬儀のやり方  写真(遺影)  弔辞

火葬が終わったら(食事)  49日と一周忌  納骨  皆さまへのお礼状家具

部屋の片づけ

 

高津の草千里スクリーンショット 2023-12-01 104228

ススキではなくエノコログサですけど

 

 

以上が『在宅ターミナルケアのある暮らし』の骨子です。

これを読んだあとの話し合い

* coco湘南では西条節子さんが 介護・医療・地域の情報をもっているコーディネー

ターとして患者本人に伴走する体力・気力があったから 看取りができたのではな

いか?

* cocoせせらぎには 西条さんと同じことをできるような人はいない。ではせせらぎで

看取りは不可能だろうか?

* cocoせせらぎは介護施設ではないけれど ライフサポーターさんがいて入居者に必

要が生じたとき つまりその人が「せせらぎで最期を迎えたい」と覚悟を決めたとき

に 情報を集めたり医療・介護とつなげる仕事をしてもらえる。

* もう一冊『最期まで家で笑って生きたいあなたへ』という本を見つけたので皆にまわ

して読んでもらった。岐阜市内の開業医 小笠原文雄さんの在宅での看取りの実践。

たくさんの一人暮らしの方が 在宅医・介護ヘルパー・訪問看護師に頼ることで 最

期まで家で過ごし 納得した死を迎えているという。最後を病院でチューブにつなが

れて過ごすより ずっと自由で気ままにゆったりと過ごせ 思ったより長く生き お

金もかからないというのだ。

* この本を参考に cocoせせらぎのすぐ近くで訪問医療を実践しておられる しまむら

医院の院長先生に この地域での在宅医療について相談してみた。

質:平均年齢82歳の高齢者10名で シェアハウス的に同じ屋根の下に住んでいる私た

ちだが お互い気心が通じるようになってきて どこか介護施設に移らないで ここ

で最期を迎えられないかをお互い勉強しているのですが それは可能でしょうか。

答:可能です。在宅医療の医師と訪問介護ヘルパーが ケアマネージャーのプランに従っ

て動くことで この地域で十分可能だし 現に月に2、3名の一人暮らしの高齢者を

私は看取っています。

質:そのような態勢を作るために まず包括支援センターに行って相談すればいいでしょ

うか?

答:包括支援センターは原則的にケアマネージャーを紹介することが仕事。ケアマネー

ジャーが患者に合ったいいプランを作ってくれると 看取りはうまくいきます。

質:訪問看護師というのはどのような位置付けですか。

答:患者の症状によっては訪問看護師が必要になるが 訪問する医者と介護ヘルパーが

基本です。

質:しまむら医院の訪問診療は申し込み制ですか。

答:そんな決まりはなくて 診療に通ってこれるうちはしまむら医院に通ってくればいい  し それが無理になったら「訪問診療に移行したい」と言ってくれれば 訪問します。

以上 しまむら医院での話の報告があって 第2回目の話し合いを閉じました。スクリーンショット 2023-12-01 104322

今年の子育ても一段落 土手で日向ぼっこのカモさん

お忙しい診療の合間に 地域の事情がよくわかっていないこちらの質問に答えてくださった島村健先生 ありがとうございました。「cocoせせらぎで最期を迎える」のは無理かも・・・と思っていた私たちは 少し希望をもちました。

「金の布団の中で 医療態勢万全 四六時中ピカピカ照明が当たり だれかが見守るなかで迎える最期」でなくてもいい 「最後の一息を見守ってもらえないかもしれないけど

cocoせせらぎで納得のいく最期」を迎えたい。この覚悟ができて 自分なりに情報を集め 方針を決める・・・自立

でもそのとき私たちは一人ではない ライフサポーターさんスタッフの方たちもいる 仲間もいる 家族や友人知人もいるだろう。仲間同士で 情報を寄せあったり 相談にのっ

たり 普段のせせらぎの日々の延長で ちょっとした手助けをお互いにするだろう・・・共生

グループリビングの「自立と共生」がここで生きてくる。

このようにして もしcocoせせらぎで最後の日々を過ごせたら100点満点!

(入居者・土)