cocoせせらぎに暮らして  2020・8・20

cocoせせらぎに暮らして   2020・8・20

IMG_0002 (1) アビィフィールド日本協会理事長   I さんが会報に書かれ文章を 転載させていただきました。 I さんは9月にせせらぎ入居予定です。

最後の住み替え 「ついのすみか」へ

私の老いじたくも終盤に入りました。「元気なうちに老い支度ーーすまい編」です。ひとりで暮らす老人の「独居」には諸々の問題があります。日常生活に必須の機能が 老化とともに欠落していくからです。記憶 視覚 聴覚 味覚 嗅覚 脚力 腕力 肺活量等々・・・。「老い支度ーーこころ・からだ編」でいくらがんばっても どうにもならなくなって 自分の老化に気づく年齢になったということです。心身のフレイル(脆弱)が進み 自立できないことが増えて 他人の支援が必要になってくるわけです。だれが助けてくれるか 面倒見てくれるか。いっしょに生活する家族がいなければ 即ち独居です。隣近所を当てにしてはならないし 自分自身もコミュニティ成員としての意識がうすい暮らし方です。

老い支度ーーすまい編では「あなたは老後だれとどこで暮らしますか」という設問があります。自立できていないのに独居であれば 即ちこれが問題を招きます。端的には 倒れたとき 失火のとき ドロボウのとき 地震・洪水のとき 非常連絡手段と通知先は? 警備会社との契約で担保できますが 住まいを選ぶことでも対応できます。

最後の住み替えで 死に場所として選んだ住まいは 「自立と共生」を趣旨として 必要あれば支援してくれる人がいる高齢者向け小規模の 街中にある賃貸集合住宅です。「グループリビング」「グループハウス」「シェアハウス」と呼ばれる住まいの類型です。多額の入居一時金も不要 食事をみんなで食べるスペースを備え 周辺コミュニティとの交流もある。

アビィフィールド日本協会がかつて目指したハウスです。土地建物の提供者と ハウスを創る人たち それを運営しサポートする地域コミュニティ この暮らしを積極的に選んだ居住者 の四者が同じ方向を向いていれば 世代を超えたハウスの運営は可能かと思います。「グループリビング運営協議会」が全国のグループリビング 16 ハウスを繋いでいるようです。首都圏では オーナーズテラス自由ヶ丘 NPO法人暮らしネット・えん coco湘南台 cocoたかくら coco湘南 coco宮内 cocoせせらぎの 7ハウスがメンバーになっており 私はそのひとつを選んで 住み替えることにしました。

毎月の費用は139000円(家賃・夕食・共益費) 入居時には300万円の建設協力金の払い込みが必要です。償却は7年間。ハウス建設の費用分担のようなものとして 7年間に均等に引き落としてもらうものと理解すればよいようです。仮に7年以内に退去する場合は 一定の割合で払い戻しを受けることができます。

部屋はミニキッチン トイレつき 一部屋23㎡(14畳) 3階建 10部屋 食堂 サロン 風呂3ヶ所 現在8人が居住し(9月に10人に)3人のライフサポーター 4人のスタッフがいて相談 食事 掃除 付き添い 買い物など 必要あれば助けてくれます。

ハウスは入居者会議・スタッフ会議・運営会議の三者で時々の問題を協議し 最終的にはNPO法人の運営委員会9人が決定します。入居者も会費を払ってNPO法人の正会員となり 総会での決議に参加するなど 運営に自分の意思を反映できる仕組みです。

サロンは地域に解放し 地域との交流の場となっています。入居者は地域社会のメンバーとして受け入れられ また役割を果たします。

ハウスの立地は東横線元住吉駅 JR南武線武蔵新城駅から徒歩で25分程度(1、8㎞以内)の街中に位置しており 途中の活発な商店街での買い物にまったく不自由はありません。駅からの道順は 川崎市水道局が管理する清流の散歩道 ”江川せせらぎ遊歩道” 沿いです。全長2、4 ㎞ は市中ではまれに見る水辺の道で 沿道にならぶ河津桜並木は見ものです。子どもたち お年寄り カルガモがにぎやかに遊んでいます。

自立と共生が基本ですから 途中から共生できないほどの認知障害をおこせば 退出を求められることもあります。入居者自身がそうならない生き方に努めるでしょう。そのためのさまざまな行事やイベントが用意されているようです。なお 介護と医療は公的保険のなかで 各自が対処します。それをライフサポーターが手助けします。介護事業所と医療機関との連携は整っています。

住んでみれば当然問題が見えてくるはずです。あるべき暮らし方の本質に支障があれば 相談して対処できると思います。ハウス側に原因があるか 入居者側の問題であるかを切り分けて考えてみたいと思います。改めてご報告いたします。    ( I )