cocoせせらぎホームページ    2022・4・20

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佐々木 炎先生 講演(第2回) 『 認知症の理解 』    

昨年秋に第1回目『共生とは?』を話していただいた頃は せせらぎ遊歩道にサクラの木の葉がたくさん散っていました。うまく依存してこそ自立が可能だということ 依存する仲間の大切さ うまく共生するにはどのような関係がいいか 笑顔や挨拶を交わすことの大切さ などなどたくさん学びました。

では次に 共生が難しくなるんじゃないかと思われる認知症について学んでいかなければ ということで第2回目・・・ せせらぎ前の歩道にサクラの花ふぶきが散る中 ふたたび佐々木先生に来ていただきました。

IMG_0005 「みなさん 自分は認知症の心配はないと思っている方 手を挙げてみてください」と先生が切り出されました。みんな あれっどうだろう と顔を見合わせました。

私たちは認知症と診断される25年も前から 脳萎縮やアミロイドβの蓄積などによって進行がはじまっているそうです。せせらぎ入居者の平均年齢80~84歳の枠でみると 25~30パーセント つまり約3人に一人は認知症という統計を示されました。

「この社会は認知機能がしっかりしていないと認められない社会になってしまっていますが 実は認知症になることが当たり前なんだ ということを前提に社会を考えていかなければならない時がきています。老いに向かう人間として 認知症は人生の終末に現れる自然で正常なできごとです。時間も少しずつずれて 場所もずれていきながら それを超えた世界に旅立っていくのが人間の姿です。

 

認知症の危険因子としてあげられるもの 

・遺伝的素因

・教育期間の短さ(これは単に学歴ではなく知識・情報を得て自分で考える力。寿命も学

歴とお金に関係していると言われているが 認知症もそうらしい)

・難聴(難聴によるリスクは高く 通常の2倍から3倍。聴覚刺激が少なくなると神経活

動が低下し 脳の構造変化をもたらす)

・高血圧  糖尿病  肥満  喫煙  うつ など

・運動不足

・社会的孤立(孤独度が高い人が認知症になるリスクは 低い人の2倍以上)

・大気汚染  など

 

認知症を予防するには 

難聴対策・食事・運動・認知課題(歌う しりとり 計算)・孤立しない、などがあげられます。また運動しながら認知課題をやる など二つを組み合わせると もっと効果が上がると言われています。

IMG_0014                         せせらぎの庭に咲いた春の花てんこもり

せせらぎのみなさんでやれること それは

①笑顔を向けあい

②コミュニケーションをとることでおたがい安

心感を抱き

③褒めあうことで脳が活性化し

④それぞれ役割をもつことで生きがいを感じ

⑤ひとつひとつ成功体験を積み重ねていく

そんな共同体を作っていくことではないでしょうか。①から⑤を一気にできるのが 例えば『一緒にご飯を作る 一緒に掃除をする』というようなことです。」

先生は「赤ちゃんは1日に何回笑うでしょう?」とクイズを出され 50回? 100回?と考えているうちに「なんと400回です! お母さんが笑うから赤ちゃんも笑う 赤ちゃんが笑うからお母さんも笑う というようにお互い関係を深めています。一日笑うことがなくても口角を上げるだけで脳は活性化しているそうです」と特に①の笑顔の大切さを話されました。そして③の褒めあうことについて「誰かに褒めてもらうと 白い粉に負けないくらいのドーパミンが脳の中で出て よし、やるぞ!という気になります」と。

はっきりした声で 分かりやすい言葉で ユーモアたっぷりの「認知症理解最前線」のお話を一時間あまり・・・ 私たちは佐々木先生のお話のあいだ 赤ちゃんの1日400回の笑顔に負けないぐらい笑いました。

先生との一問一答

「母が最後のころ認知症のようになって 私のことを「お母ちゃん」と呼ぶことがありました。」

ーーーお母さんというのは安心の代名詞のようなもので たぶんとても安心した状況だったのだと思いますね。

「また私たち3、4人で夕食後 この川のところをおしゃべりしながら散歩しています。週に2回 体操もしています。体操の後 you tubeで脳トレも。

ーーー散歩 いいですねー! ただ徘徊にならないようにお願いしますよ(笑)。徘徊といって も 最近はすぐに見つかります。それだけ社会の認知症に対するネットワークの網目が密になってきていますね。

「姉が今 かなり分からなくなっている状態で 私もそのようになるのではと覚悟しています。」

「どのようになったら認知症を心配しなければならなのか・・・病院へ行くのはいやです。認知症と言われるかと とても不安です。」                         「え、あなたはそんな感じ全然ないと思うけど。どんな時そう思うの?」

ーーーそこのお二人はお互いに見守りあっていけば? いい関係じゃないですか。      「じゃ いっしょにがんばりましょう!」

「80代の30%が認知症というお話でしたが それは人の数じゃなくて 80代の個人の脳の中の30%が認知症になっている という考え方も当たっていますか?」

ーーーそれは違います。診断された人が30%いるということ。心配に思ったら物忘れ外来

とかより まずかかりつけのお医者さんに相談するといいです。ちゃんとスケール

があって それによって診断が出ます。

「私は毎日 顔を洗って鏡を見るとき 笑うことにしています。」

ーーーあ~ それはとてもいいことですねー 毎日脳が活性化してますよ。

認知症研究の権威で ご自身が認知症であるとカミングアウトされた長谷川和夫先生が「認知症は死の不安を和らげる神の恩寵である」と言われて旅立たれたというお話にも 私たちはとても勇気づけられました。自分がもし認知症になったらどうしよう、、、せせらぎでお互いに助けあってどこまで行けるだろうか という悩みを共有している私たちは 先生のお話に真剣に耳を傾けました。あっという間の一時間半・・・快くお話しに来てくださった佐々木先生に感謝!!                         (土)

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ローズマリーの花がこんなにきれいだったとは