≪ 里芋の収穫 ≫ 2020・12・1
cocoせせらぎには2メートルx5メートルほどの小さな野菜畑があります。 小さいけれど私達を一年中楽しませてくれる畑。 春は 土おこし、肥料設計、苗の植え付け、夏はトマト、きゅうり、ナス、ゴーヤなどの穫り入れ秋はキャベツの苗植えなど 一年をとおして畑の世話をするボランティアさんがいて下さる有り難さ。 その方は 大きな台風の後なども必ず来て ゴーヤの棚が倒れていないか 野菜に虫はついていないかと気にして見回って下さいます。 私たちは食堂から畑をながめながめてはあ、あのトマト 明日が食べごろだね などと言いながら 採りたて野菜を使った夕食のメニューを楽しみにしています。 夏野菜が終わって畑に黒土がめだつ頃 いつの間にか里芋の大きな葉があらわれました。葉っぱの上に雨粒が光っていて「あら~ いつの間に里芋が! いつ食べれるのかしら。」 まったく! 私たちは手は出さず 口だけ動かす調子のいいメンバーです。
12月はじめにベランダにゴロゴロと真っ黒の里芋が並びました。 ところでクキはどこへ? 味噌汁にすると美味しいんだけど・・・」と聞いたらすでにゴミ箱に入っていました。 私はあわてて拾ってきて 薄皮をむき エグミを抜き 、あとはスタッフさんにお任せしました。 その晩はトロトロと柔らかい里芋とクキの味噌汁メニューでした。
普段お掃除できないあちこちを総出で磨きあげて お腹が空いてきたころ 芋煮汁のいい匂いがしてきました。 ピカピカのガラス窓から陽の光もはいって、野菜たっぷりのお汁、 海苔の巻いた梅のおにぎりを 入居者もスタッフの方も菜園ボランティアさんもワイワイおしゃべりしながらいただきました。
≪cocoせせらぎはNPO法人です≫ 12・15
と 聞いて私は3年前入居しました。 でもここの生活に慣れることに忙しくて NPOの働きについては「ちゃんと運営してくださっているありがたい委員会」 ぐらいに思っていました。 運営委員会の皆さんは月2回 cocoせせらぎのすべてのことについて会議で話し合い しかも無報酬で・・・おかげで私たちはこれまで安泰に過ごしてきました。 ところが今年の6月cocoせせらぎにピンチがやってきました。 8人中4人が退所! それぞれ経済的な事情とか家族の意向 認知症の急な進行とかよんどころない事情はあったものの 残った4人は大ショック。 「. . .大丈夫? 運営がなりたたないんじゃない? 私たちこのまま” せせらぎ”にいられるのかしら」と頭を寄せ合いました。
しかし入居者もNPO法人の正会員 任せきりと言うわけにはいきません。なんとかしなければと 私も運営委員にという事でお受けし 皆で大家さんに家賃を下げてくださる様お願したり、働いてくださっているスタッフの皆さんと時給交渉をしたり 運営費を細かく計算してみたり. . .私たちの様な比較的低い女性の低い年金でも ここで生活出来ることをめざしました。
お蔭で入居月額費用をぐっと下げることが出来たので 次は宣伝です。 運営委員・スタッフ・入居者も一緒になって 近くで開かれた中村 哲さんの講演会で聞きに来られた方々に広告チラシの手配りしたりもしました。 そんな事も有って 新しい仲間を又お迎えする運びとなりました。 (まだ空き室はあります。。。)
6月からの 半年間で 私はNPO法人についてずいぶん学びました。 一つは 「NPO法人は収益を上げることを目的としていないという事」 商業ベースの高齢者住宅は料金も高額であったり・・・社会保険制度も切り捨てや値上げがされそう・・・「ジゴクの沙汰もカネ次第」という言葉を思い出してしまう世の中です。 そんななかでCOCO せせらぎがめざしているのは収益ではなく、高齢者が元気で 安心して暮らせる場所なのです。 もう一つ学んだこと それは 「NPO法人の会員は一人 ひとりが対等であり、民主的に運営されるという事。」
入居者もスタッフも運営委員も それぞれの会議で思ったことを言いあいます。 もちろん議論になることも。 でも話し合っているうちにお互いの真意がわかってきて 最後は運営委員会で大きな妥協案ができあがります。
いろいろあった6ヶ月 私はCOCOせせらぎと言う所をすこしずつ理解し とても好きになりました。 「利益重視」 「空気をよみあう」 この国で奇跡のような場所に思えます。 こんな場所が日本中に増えていくといいのに・・・
「師が走る」 12月 師ではまったくないけれど 高齢者も何かと忙しい・・・というわけで2テーマ しか書けませんでしたが 来年も COCOせせらぎで年を重ねて行く日々を書いていけたらと。 どうぞ良いお年を! (R)