満月に誘われて

 

2023・9・5

 

9月はじめのまん丸のお月さまに誘われて いつものメンバー4人で しばらくお休みしていたせせらぎ遊歩道の散歩に出かけました。虫の声が夜毎にしげくなって 四方の草むらからリーン リーン ジ ジ ジ ジ と合唱するなかをお喋りしながら行きます。「私たちは幸せよね〜 玄関を出ればもう散歩道だもの」

「ほんと こんなに自然に恵まれた所だと思わなかった〜」

「もし私の頭が弱くなって徘徊をはじめたら この遊歩道を探してね。歩くといったらこの道しかないから・・・」

 

今年の春に生まれて もう成鳥と変わらないくらいに育った兄弟カモが 今夜のネグラと決めたのか 川のまん中の小ぶりの石の上に6羽ぎっしり座っています。

「もうお母さんの姿は見えないね。」

「親離れしたけど ちょっと自信がないのかしら まだ兄弟一緒にいるのね。」

「最初は子ガモが12羽もいたのに・・・ この子たちはがんばって生き残ったね〜」

 

今夏の猛烈な暑さのなかでもがんばってニチニチソウが咲いています。きっと毎日せっせと水やりしている方がいるのでしょう。街灯に照らされて葉っぱの上に露が光っています。「わぁ〜 露がホタルみたいじゃない?」

「ほんとだ きれい! ホタルって最近見ないね。」

昔を思い出しながら ひとしきりホタルの話。

 

歩きはじめたときには住宅街の屋根の間から 角度の関係かびっくりするくらい大きく見えていたお月さま お喋りしている間に私たちの頭の上にあがっています。そろそろUターンして帰りましょうか ヨッコラショ! ベンチから立ち上がろうとしたのですが 夏の間さぼっていたために 立ち上がるのがとてもおっくう。

「あぁ、人間って こうやってフレイルになっていくのかなぁ。」

「歩けなくならないように 毎晩少しでもいいから歩いて 習慣にしようね。」

 

帰り道には水琴窟という楽しみがあります。この辺りの植栽ボランティアの方が作ってくださった装置 LEDライトをぼんぼりのように囲って夜道をうっすら照らしている所に 土甕と水差しと竹筒が。手作りの竹製の水差しで 水を小石が敷きつめられた甕の上部から落とすと 土甕のなかに滴り落ちる水滴。。。 それが下の水たまりに落ちるとき 中は一体どんな構造になっているのか 土甕の空洞で響き合って・・・竹筒を耳に当てて聞くと それはそれは美しい響き♪♬

キーン コーン ポチャッ ボーン 高音から低音まで 暗闇のなかで聞く幻想の音楽会です。

ふといい香りに振り向くと せせらぎ川の向こう岸から枝を垂らした大きなネムの木が 花盛りなのでした。ネムの花の甘い香りに包まれて・・・目と耳と鼻と 心も満たされて 4人は部屋に帰りました。                                                                                                   (入居者・土田)

 

写真:今年の花は暑さでやはり全滅でした 去年の秋の写真から・・・左から

「フヨウ芙蓉」「花ほうづき」「ムクゲ無窮花」「カラスウリ」

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